片想い


軽くネタバレ

片想い
片想い
posted with amazlet on 05.11.03
東野 圭吾
文藝春秋 (2004/08/04)
売り上げランキング: 24,751
とにかく分厚い文庫が読みたくて、東野圭吾の文庫の中から厚いやつ!と思って手に取った。
冒頭文が全然魅力的じゃなかったから、やべぇ…飽きそう。と思ったんだけども。ちゅうか実際コレ読み始めてすぐにNから「間宮兄弟」を借りちゃったので、一旦やめて「間宮兄弟」読んでた。
戻って読んだら、なんのことはない。グイグイ引き込まれてた。
東野圭吾のすごいところは、これが金八の上戸彩世代(関係ないけどまた私、上戸彩に似てるって言われた)以前に書かれてたってこと。
この作品の登場人物・美月を「おっ!鶴本直じゃん!(上戸彩の金八のときの役名)」って思わずにいられない。
つまり、性同一性障害をテーマにした話。
もちろんミステリーで、悲しい恋もあり…っていう。
ジェンダーだったりとか、それこそ性同一性障害に少し興味がある私にとってはかなりアタリな話。
登場人物たちが口々に、「男って」「女って」「性別って」な問題について真剣な思いを言っていて、どれも誰かが思っていそうで、本当の答えは何?と、主人公・哲朗も読者も考える。
男と女はメビウスの輪だ、という考えが濃く出てたんだけど、私は、ラスト近くに出てきた黒と白は表裏ではなくグラデーションになっている、っていう表現に、コレだ!と思った。
この「片想い」の美月、「金八」の鶴本直で私がずっとひっかかってた感覚。
「男」なのに「女の体」ではなく、黒と白の中間にいる、ってことなんじゃないかな?
だから「黒」か「白」。どちらかじゃなきゃいけない!って決めつける世の中はどうなのかな?
黒、白、灰色、って三つあるいはそれ以上の分け方はできないのかな?
黒と白の間に灰色、赤と青の間に紫、黄と青の間に緑。
「色」ならこんなにハッキリとした名前がつけられているのだから。